TungTech, Tungaloy テクニカル記事 – DoTriple-Mill


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タンガロイのDoTriple-Millは、現在市販されている正面フライス工具の中で、汎用性と経済性に最も優れたものの一つである。

DoTriple-Millは、同じカッタボディで3タイプのインサートを使用することができる。

16コーナ仕様の八角形インサートは、切込み3.4 mmまでの加工に対応するが、切込みがさらに大きい場合は、同じカッタボディに8コーナ仕様の四角形インサートを取り付ければ、切込み6 mmまで対応可能になる。また、DoTriple-Millでは、8コーナ仕様の丸駒インサートを使用することもできる。丸駒インサートには多くの利点がある。すべての工具形状の中で最も強度が高く、負荷の高い加工にも対応できることや、切込みが小さい加工では薄い切りくずを生成するため、高送りカッタに匹敵する送り量を実現できることが、丸駒インサートの特長である。


汎用性と経済性は、DoTriple-Millを最も優れた正面フライス工具の一つだとする理由の一端にすぎない。DoTriple-Millの性能は、その独自のインサート形状を考慮に入れなくとも、他に類を見ないものである。主要な利点は、インサートをカッタボディのポケットに確実に固定できるメカニズムだ。インサートには、インサート厚みの中間に、外周に沿って溝が施されている。この溝によって、インサートは、ポケット内の隆起部に固定される。従来の正面フライス工具では、ねじのネック部がインサートを押し付けるだけだが、DoTriple-Millは、カッタのポケットがインサートを正しく固定する構造になっている。このダブテイル形状の固定構造は、インサートを固定し、浮き上がりを防ぎ、正確な軌跡で切削し、従来の転削カッタによく見られるインサートねじへの負荷を軽減する。これにより、送りの増加、より正確な工具軌跡、刃先位置精度の改善、信頼性の向上、そして、より良好な仕上げ面を実現することができる。


転削加工、特に、切込みが大きい加工では、切りくずの除去がしばしば懸念事項になる。従来の正面フライス工具は、切りくずを半径方向にカールさせることに重点を置いており、切りくずは幅広で螺旋状に長くなる。これは、切りくず排出が困難な大きい切込みの加工では問題になることがある。DoTriple-Millのインサートは、切りくずを軸方向に曲げる凹形の切れ刃を持ち、切りくずを半径方向にカールさせて「6」の形にすると同時に切りくずの高さを低減する。その結果、切りくず形状は、はるかに排出しやすい樽形になる。

サイクルタイムは、仕事の利益に影響を及ぼすことが多い。DoTriple-Millは、荒加工のサイクルタイムを大幅に減少することができるが、サイクルタイムの問題で見過ごされがちな点は、仕上げ工程である。要望通りの仕上げ面を得るために、送りを低く設定する加工現場は多いが、それではサイクルタイムが長くなり、利益は減ってしまう。DoTriple-Millのワイパーインサートを使えば、仕上げの工程を劇的に減らすことができる。八角形ワイパーインサートのさらい刃の幅は3.9 mmで、カッタに取り付けるインサートのうちの1個をワイパーインサートにするだけで、1回転当たり最大3.9 mmの送り量 (fz x z < 3.9 mm)に対応可能になり、尚且つ高品質の仕上がりを実現する。八角形ワイパーインサートは、インサート1個につき8つのさらい刃があり、四角形インサートのさらい刃の幅は7.9 mmで、仕上げ加工におけるサイクルタイムを大幅に削減する。

インサートには、汎用のMJチップブレーカと、負荷の高い荒加工用のMHチップブレーカを採用した。外周部を研削仕上げにしたタイプと、経済的なプレス加工タイプがあり、カッタが右勝手でも左勝手でも、同じインサートを使用できる形状に設計されている。

また、インサート材種には、CVD材種とPVD材種がある。CVD材種ではRPM(1分間当たりの回転数)の増加が可能であり、PVD材種は、シャープな切れ刃を必要とする加工に適している。鋼とステンレス鋼の加工には、タンガロイの先進的な多層構造材種T3225が優れた性能を発揮するが、その切りくず排出量の高さと、工具の安定した長寿命についてはすでに実証されている。CVD材種のT1215は、鋳鉄加工に最適である。また、革新的なPVD材種AH3135は、より鋭い切れ味が求められる加工に有効である。

カッタボディは、標準刃・多刃・超多刃仕様の3タイプがあり、工具径は50 mmから160 mmまでを設定している。